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  • 2016.01.02 Saturday
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彼方の世界


 
 お互いに、

 まずしくいやしきなるか――。


 向こう側には監獄、

 どんより曇った膀胱のような、

 呶鳴り声がしていた昨日、

 無智の尊さのように青い服を着た、

 役立たずの男や女たちが、

 線香花火のようにぶるぶるぶるぶる震え、

 それゆえ、芳醇な肉体、

 光り輝いて、みずからによってきよめられ、

 暗室に閉じ込められるのをのぞみ、

 鎖りづけにされた。


 「淋しさが厚い氷を生むのだ――。

 だから嘘をつかないでいよう、

 だから僕等は負けないでいよう・・・。」


 お互いに、だのに、

 なにゆえにおずおずとうつむける――。

 
 自分を保護するために、

 宝石に砂糖をまぶしたような組織を作った。

 自分のわきに空洞でも穿たれた心済まなさは思った、

 美しいもの、醜いものに永遠の生をあたえ、

 新芽の角がいろづいている暮らしの底潮になりたい。

 崖縁に足を踏み出してもよい、

 大義名分はいたましき民衆の生活全体のうえに。

 我らがユートピア。


 (僕は振り返り、ぼうっと腫れぼったい輪郭の君を見た、

 そしてもう一度振り返り、寒さに変色している君を見た、

 ――それでもまだ、笑おうとして、

 笑おうとして、口角にうすい肉を隆起させて・・・。)


 でも君は僕のように餓えてゆく。

 そして僕は君のように痩せてゆく。

 食物を得、

 衣服を得、

 住居を得、

 それでもうねうねとした蟻の列が扇型に見え、

 不完全なエレベーターのようにたえまなく、

 いずこにか何かを認めし其の眼を曇らせた――。


 「真に劣うる者などない――」


 死のうか生きようか思案に暮れながら、

 うなだれ、馬の歩みも遅くなりながら強情に、

 解放や自由という、つかのまのさびしきゆうぐれ、

 有らゆる悪意と暴行のいまわしい地獄にぐるぐる廻った、

 口に出す言葉を自分で確かめながら、

 民法や刑法の幾千箇条、行方不明捜査局、

 パステル色の薄紙の束、

 うす暗い街かどで、低い、恐ろしい、

 きれぎれな、せわしい息遣いがきこゆ・・・。


 是れが、

 古い麻痺と悪しき因習とその蒸留の部屋、

 ユートピアは遠く、ありきたりな目覚めの破片が、

 ささやきをコードに変える――。



 

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